神戸 徒然の記, イスラム世界との文明の衝突? まやかしの文明論 2
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2015/02/23/(月) 世事に一言 しろぴ
イスラム世界との文明の衝突? まやかしの文明論 2
イスラム世界との文明の衝突?まやかしの文明論1からの続き

これらが、欧米・日本側の原因であるが、
アラブ・イスラム世界にも不安定化の大きな要因がある。
石油だ。
この世界を支えるエネルギー源こそがイスラム世界に富と力をもたらし、同時に逃れられない矛盾を突き付けている。
社会的に不平等で、権力が民意によらず形成され固定化している。人々は権力に潜在的な不満を持っているにも関わらず、石油生産による富がその不満を買収し、人口に見合わない強大な軍事力と警察力で押さえつけている。
近代的な中央集権の社会的な基盤が無く、法治制度が無いにも関わらず、国家の体裁は整っている。社会的な基盤無く、石油の富によってのみ支えられる国家である。
その国家はあくまで、石油経済の取引相手として成立している。
例えば、アラブ首長国連邦は7つの部族国家が集合しただけで、国家としてのまとまりは小さい。石油の富を国家として管理することより、部族長の利権独占を守ったまま国家の体裁を整えることが目標であった。つまり、この連邦はOPECの地域版で、イギリス・サウジアラビアなどに対抗するためにできたような国である。選挙権や政党活動すら制限され、到底民主的な国家ではない。社会体制だけをみればタリバンの統治とそれほど変わらない。
また、テロ組織アルカイダの主要な拠点になっているイエメンも、元は冷戦によって分断されていた国で、その分断は部族間の勢力争いを起因としている。それが、ペルシャ湾岸の石油産出国の影響によって急激に国家形成を則されたと解釈していいだろう。そのように根源的に不安定な国家だからこそテロ組織の温床となり、政権が部族勢力に脅かされたりするのだ。

石油の埋蔵地はイスラム世界にあると言っても、その生産地は偏在し、それによって同じ文化民族下にあっても、経済的な要請で形成される国家の性質は大きく異なる。サウジアラビアのように、国家内に十分な石油生産地があり、イスラム教の発祥地であり、古くから同じ統一政権の支配下にあり、文化的にも同質性があり、歴史的に育った王権も国は全くの例外である。
普通は、石油生産地が、歴史的にあった民族・国家の境界にまたがり、民族間で争ったり、矛盾を孕んだまま国家になったりしている。このような場合、国家は強権的な独裁国家になるか、中央集権化できてない国家になる。

専制的な国家を敵だと言う欧米諸国も、産油国にはその前提を適用していない。エジプトもイランも独裁政権だったのにアメリカ合衆国の同盟国だった。イスラエルが核武装することもアメリカ合衆国は黙認している。
このように、欧米や日本の中東政策は元々矛盾だらけなのに、ある時点から急に正義漢ぶって見栄えの良いことを口にするから破たんするのだ。

イスラエルが軍事国家であることは明白で、アメリカ合衆国の軍事支援がなければ国家は成り立たない。その莫大な負担を補っているのが中東の産油国である。イスラム国家の中で最も豊かで強大なサウジアラビアをはじめとする国が、実はイスラム急進主義の最大の敵であるイスラエルを応援しているのだ。
欧米各国は産油国の石油の富を分割しつつ、最新鋭の武器を産油国に売り、その政権を支え、その売ったお金をイスラエルに渡して更なる軍事化を進めている。
エジプトはイスラエルとの和平後に莫大な軍事援助をアメリカ合衆国から受けたが、これは誰に対する軍事力であったろうか?中東戦争後、エジプトはリビアと小競り合いした以外、大きな戦争はない。軍事援助はエジプトの軍事政権を支えるためだけに使われた。軍事政権は戦争の脅威が無いので、それを自らを養うために使い、その不公正さが政権打倒のきっかけになっている。しかし、エジプトもシリアも軍隊が数十年前まで臨戦態勢の強大な軍隊であったから、多少の反乱では倒れなかった。
民衆は軍事独裁政権の武力には無力である。さっき述べたじゃんけんの関係だ。イラクのように、米軍は正規軍に対しては無敵だ。逆に、正規に組織化されていないゲリラ兵には無力だ。


無人機による人的損害の減少とITネットワークを通じた監視システムよって、かつては奇跡だった成果を上げたことで、戦略的なミスを見逃してしまっているのだ。技術革新が戦略のずさんさをカバーしているのが現在のアメリカとその同盟国なのだ。

イスラム独裁国家の軍事力は国家支配のために巧妙に形成されてきた。社会的に法治の仕組みが無い中で、最も法治が必要な軍隊と警察が国家内で強大化するのは当然の成り行きだ。そこに石油の富が加わり、欧米・日本・中国などの利益目的の外交関係が国家の矛盾を促進させる。

このようにみると、イスラム世界で原理主義や反乱・革命・戦争が頻発するのは当然のことだ。冷戦期のように、国家が自陣営であればどんな独裁権力でも批判しなかった時代と異なり、今は、法治国家のふりもしなければならないので、この地で統一政権を維持するのは相当に大変である。
冷戦や石油利権など、欧米と日本がこれまで与えた影響こそがこの地域の不安定さの一因になっていることを再度認識しなければならない。
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